座布団を投げること — 大相撲の「座布団の舞」はなぜ起き、なぜ禁止されているのか
横綱が敗れた直後に客席から座布団が飛ぶ光景は「座布団の舞」と呼ばれますが、日本相撲協会は観戦マナーと観戦契約約款の両方でこれを禁じています。いつどんな場面で起きるのか、江戸期の「投げ纏頭(なげはな)」との関係、協会が禁止する理由と対策、そして観客側の言い分までを、公式資料と報道にあたって整理します。
まず結論 — 協会は「投げないでください」と明示している
大相撲を初めて観る人がいちばん驚く光景のひとつが、横綱が負けた直後に客席から座布団が宙を舞う場面です。「座布団の舞(ざぶとんのまい)」「座布団投げ」と呼ばれます。
この行為を、日本相撲協会は禁止しています。 黙認されているように見えても、公式には認められていません。協会の文書は三段構えでこれを禁じています。
| 文書 | 記載 |
|---|---|
| 各場所の「観戦にあたっての注意」内の観戦マナー | 「ケガ等の可能性があります。座布団を投げないでください。」 |
| 「大相撲観戦時のお願い」の“お断りしている行為” | 「客席、場内その他への物投げ行為」 |
| 「相撲競技観戦契約約款」第8条1項8号(禁止行為) | 「土俵上への乱入、土俵、座席、通路、階段等の相撲場への物品の投げ入れ、柵、手すり等へのよじ登りやまたがり行為、座席範囲以上に身を乗り出す行為、その他自己または他人の生命、身体、財産に危険を及ぼす虞のある行為」 |
約款(やっかん)は、入場券を買った時点で観客と主催者のあいだに成立する契約の条件です(平成24年1月26日制定、同年5月1日施行)。つまり座布団を投げることは、マナー違反であると同時に契約違反にもあたる、というのが協会の整理です。
投げられているのは、会場に備え付けられている座布団です。国技館やIGアリーナなどの会場では、土俵に近い側から溜席(たまりせき)、桝席(ますせき)、イス席と並びます。桝席には人数分の座布団が敷かれており、後述する協会の対策も桝席の座布団を対象にしてきました。
なお、協会は座布団だけを特別扱いしているわけではありません。「大相撲観戦時のお願い」が禁じているのは「客席、場内その他への物投げ行為」という一般則で、紙テープ・紙吹雪・風船の使用も同じ欄に並んでいます。
どんなときに飛ぶのか — 「金星」が典型だが、それだけではない
座布団が飛ぶ引き金として最も分かりやすいのが金星(きんぼし)です。
金星とは、平幕(ひらまく=幕内のうち三役に入っていない前頭の力士)が横綱に勝つことを指します。関脇や小結といった三役(さんやく)の力士が横綱に勝っても金星とは呼ばず、単なる白星(しろぼし=勝ち)です。不戦勝は金星に数えません。金星は力士褒賞金(りきしほうしょうきん=勝ち越しなどに応じて積み上がり、本場所ごとに支給される力士の収入。「持ち給金」とも呼ばれます)の加算対象になり、引退まで効き続けるため、力士本人にとっても重い一勝です。
ただし、実際に座布団が飛ぶ場面は金星に限りません。「番付(ばんづけ=力士の序列表)の上位が負けた」「その場にいた人が忘れないだろう一番だった」と客席が感じたときに飛びます。
- 2022年7月場所14日目:大関・正代が横綱・照ノ富士を引き落としで破りました。正代は勝ち名乗り(かちなのり=行司が勝者の名を呼ぶ所作)を受けようと蹲踞(そんきょ=つま先立ちで深くしゃがむ姿勢)した瞬間、後頭部に座布団が直撃。顔色を変えず、落ちる前に左手でつかみ取りました。本人は「顔に当たったら危ないけど、後ろからだったので大丈夫でした」と話しています(中日スポーツ)。大関の勝利なので金星ではありません。
- 2017年7月場所11日目:横綱・白鵬が御嶽海に敗れ、館内は座布団が乱舞したと伝えられます。御嶽海は当時関脇だったので、これも金星ではありません。 この一番は、白鵬が14勝1敗で優勝したこの場所の唯一の黒星でした。
- 2024年7月場所14日目:前頭6枚目の隆の勝が横綱・照ノ富士を寄り切りで破りました(金星)。
- 2025年7月場所13日目:横綱・大の里が前頭15枚目の琴勝峰に金星を献上し、場内に大量の座布団が舞いました。琴勝峰はこの場所13勝2敗で初優勝しています。
- 2026年7月場所(名古屋・IGアリーナ):2日目に横綱・大の里、3日目に横綱・豊昇龍を連破した21歳の藤ノ川(前頭筆頭)に、大量の座布団が飛びました。
昔の例では、1975年3月場所(大阪)の千秋楽(せんしゅうらく=最終日)が語り継がれています。大関・貴ノ花は本割(通常の取組)で横綱・北の湖に敗れ、両者13勝2敗で並びました。その直後の優勝決定戦(ゆうしょうけっていせん=同点の力士で行う優勝を決める一番)で貴ノ花が北の湖を破り、初優勝を決めています。NHKで長く相撲中継を担当した杉山邦博氏は「のちに北の湖が『花道(はなみち=力士が土俵へ出入りする通路)を下がりながら天井が見えなかった』と言ったほどで、あれほどの座布団が舞う様は私も見たことがない」と述べています(週刊ポスト2021年6月4日号)。
新型コロナウイルスの影響で観客が制限された2020年7月場所以降は、しばらくこの光景が見られない時期がありました。
いつからの慣習か — 江戸の「投げ纏頭」との関係は「そう説明されることが多い」段階
座布団投げの直接の起源は、はっきりしていません。よく語られるのが、江戸から明治にかけての 投げ纏頭(なげはな) との関係です。
「纏頭(てんとう/はな)」は、歌舞や演芸をした者への褒美・祝儀・心づけを指す言葉です。日本大百科全書(ニッポニカ)は「もと上位の人が下位の者に着物を与えるとき、頭にかぶせる風習があったため、この文字を使うという」と説明し、あわせて「役者や相撲取りが受け取る」ものだと記しています。ただし世界大百科事典は、由来を「祝儀として与えられた衣装を肩に掛けたり頭に載せたりする作法に由来し」と、やや異なる形で説明しています。由来の説明は一つに定まっていません。
伝えられている仕組みはこうです。贔屓(ひいき)の力士が勝つと、観客は自分の羽織などを土俵に投げ込みます。羽織には家紋や屋号が入っているので、誰のものか分かる。呼出(よびだし=力士を呼び上げ、土俵まわりの世話をする裏方)や力士側がそれを持ち主のもとへ返しに行き、返してもらう側は礼として祝儀を渡す。「投げ祝儀」「投げ纏頭」「羽織投げ」などと呼ばれた習慣です。
この習わしは、1909年(明治42年)に旧両国国技館ができて以降、正式に禁止行為になったとされます。そして企業などが取組に賞金を懸ける懸賞(けんしょう)の制度が、これに代わるものとして整えられていったと説明されることがあります。現在の懸賞は幕内(まくうち=番付の最上位の階級)の取組にのみ懸けられ、協会の定めでは1本70,000円(税込)、うち勝ち力士の獲得額が60,000円、残り10,000円は手数料(取組表掲載料・場内放送料)です(令和元年6月改定、同年九月場所から)。
ただし、「羽織投げ → 座布団投げ」と直線的につながっていることを示す一次資料は、今回確認できませんでした。 相撲博物館や協会公式サイトにこの系譜を明記した記述も見つけられていません。懸賞が投げ纏頭の代替として制度化されたという因果関係も、協会の公式説明では確認できていません。「そう説明されることが多い」という段階の話として受け取るのが正確です。少なくとも、現在の座布団投げに祝儀を渡す実務は残っていません。
協会が禁止している理由 — 誰に当たるのか
理由は端的で、当たれば人が怪我をするからです。相撲場の構造上、投げられた座布団が当たりうる相手は複数います。
1. 土俵上の力士・行司(ぎょうじ=土俵上で取組を裁く審判役)
取組直後の土俵には、勝った力士、負けた力士、行司がいます。前述の正代のように、勝ち名乗りを受ける姿勢のまま当たることがあります。2024年7月場所14日目にも、横綱・照ノ富士を破った隆の勝の頭に座布団が当たったと報じられています(スポーツ紙報道。原記事にはあたれていません)。負けた側の力士に当たることもあり、これは称賛どころではありません。
2. 土俵際の観客
協会は「入場券および観戦に関する詳細および注意事項」で、溜席(土俵のすぐ下の席。砂かぶりとも呼ばれます)について、
相撲場の土俵に隣接する溜席(維持員席充当分含む)は、競技の特異性から土俵競技者(力士、行司)の転落または他方からの飛来物等による危険性が非常に高いため、損害を被ることのないよう注意をはらわなければならない
と明記しています。飛んでくる座布団を、協会自身が明確に危険要因として数えているわけです。同じ文書は溜席の利用を「年齢16歳以上の者のみ」とし、さらに「危険に対応出来ない者の利用は禁止する」と定めています。
3. まわりの観客
投げる側からは、前の列に誰がいるかも、どこに落ちるかも制御できません。協会公式YouTube「親方ちゃんねる」では三保ヶ関親方らが座布団投げの危険性に触れ、むち打ちで病院に運ばれた人がいたこと、目に当たれば失明の危険もあることを語っている、と報じられています(週刊女性PRIME)。
約款第13条3項も、観客の側に注意義務を課しています。
観客は、相撲競技において競技者(力士、行司)の転倒または場内の飛来物等に常に注視し、自らが損害を被ることのないよう十分注意を払わなければならない
法的にはどうなるか
弁護士ドットコムニュース(2019年5月28日)で西口竜司弁護士は、座布団を投げる行為自体が暴行罪(刑法208条)にあたり、それで怪我をさせれば傷害罪(刑法204条)にあたる、民事では不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)を受ける可能性がある、と説明しています。同記事で協会広報は、実際に事件になった例は「把握しているかぎりない」と答えています。
つまり、理屈のうえでは犯罪になりうるが、現実に立件された例は確認されていない ——これが現在の状況です。
協会が試してきた対策と、その結果
協会は手をこまねいてきたわけではありません。分かる範囲で時系列に整理します。
場内アナウンス
横綱が敗れた直後などに「座布団や物は投げないで下さい」といった放送が流れます。文言は場所や時期によって差があり、一言一句固定された定型文があるかどうかは確認できませんでした。
取組表への注意書き(2007年9月場所からとされる)
入場者に配られる取組表に、座布団を投げて人に怪我をさせれば暴行罪・傷害罪に該当する場合がある、という趣旨の警告が印刷されるようになったと説明されています。ただし、開始時期と文言を裏づける報道や協会公式の資料は確認できませんでした。
「投げられない座布団」(2008年11月場所〜)
最も物理的な対策です。九州場所(福岡国際センター)で、桝席の座布団を1人用4枚から、2人用の座布団2枚に変更し、その2枚をひもで結んで連結しました。4人のうち1人でも座っていれば持ち上がらず、投げられない。
2009年に福岡で現地を見たレポート(デイリーポータルZ)でも、2枚ずつつながった座布団がさらに紐で結ばれ、4枚一体になっている様子が記録されています。同レポートは「4つ分の重さがあるので投げづらい」と説明する一方で、「ちゃんと投げられる座布団も、前の方の席にはありました」とも書いています。会場全体から座布団がなくなったわけではありません。
それでも、九州場所では座布団がほとんど舞わなくなったと報じられています。2010年11月場所2日目、稀勢の里が白鵬の63連勝を止めた一番でも座布団は飛ばなかったと伝えられますが、これを直接確認できる報道にはあたれませんでした。
一方で、この方式は九州場所以外には広がっていません。理由を協会が公式に説明した資料は見つけられませんでした。名古屋場所では2025年・2026年とも大量の座布団が飛んでおり、少なくともこれらの会場には導入されていないことが分かります。
約款による処分の枠組み(2012年〜)
「相撲競技観戦契約約款」は、禁止行為に違反した観客について、条文上は「相撲場から退場させる」と定めています(第10条1項。ただし速やかに事由を解消し迷惑の程度が軽微なら退場を猶予することがある、という但し書きが付きます)。悪質と判断した場合は「販売拒否対象者として指定する」(第11条1項)とも定めており、指定されれば今後の入場券が買えなくなります。協会自身が同じページに載せている“要旨”ではこれらを「退場させることができる」「販売を拒否することができる」と説明しており、条文と要旨で語調に差があります。
ただし、座布団投げで実際に退場や販売拒否が行われた事例は確認できませんでした。
個別の呼びかけ
2019年5月、トランプ米大統領が千秋楽を観戦した際には「座布団などの物を投げる行為を行った場合は退場の上、処罰される」という注意書きのチラシが配布されました。2025年7月場所14日目には、協会が名古屋場所の公式Xで「相撲を取る力士、観戦にお越しいただく皆様のためにも、今一度観戦マナーのご協力をお願いいたします」と異例の呼びかけを行っています。
総じて言えること
物理的に投げにくくした九州場所ではほぼ止まり、呼びかけだけの場所では止まっていません。一定の効果があった方法は分かっているが、全場所には広がっていない、という状態が2008年から約18年続いています。
観客の言い分と、協会の立場 — そして観る側にできること
この慣習が消えないのは、投げる側にも言い分があるからです。両方を並べておきます。
観客側から語られること
週刊ポストの取材に対し、相撲担当記者は「座布団を投げるのは勝った力士に祝儀であると同時に横綱へのヤジでもある」と説明しています。称賛と野次が同じ動作に同居している、という見立てです。座布団が舞うほど価値のある一番だった証で、その場に居合わせた者だけが見られる光景である、という受け止めもあります。
力士の側にも、肯定的に受け止める声はあります。2026年名古屋場所で横綱2人を連破した藤ノ川は「うれしい。歓声も聞こえて、座布団も大阪の時より飛んでいた」と話しています。
負けた側の力士が語ったこと
横綱・貴乃花光司氏は、週刊ポスト(2021年9月17日発売号)のインタビューでこう語っています。
自分が負けた後に座布団が舞ったり、うなだれたところに座布団が当たったりすると余計に心が痛みます。
同じインタビューで貴乃花氏は、入門時に師匠から「負けて喜ばれる存在にならないと力士をやっている意味がないぞ」と教わったことも振り返っています。称賛と痛みが同居している、というのが当事者の言葉です。
協会の立場
協会は主催者として、観客・力士・行司・裏方の安全に責任を負っています。溜席には16歳未満を入れず、飛来物の危険を明文で警告し、投げる行為を禁止行為に指定している。一方で、金星が出るたび実際には座布団が飛び、それを止めきれていない。文化として言い分があることも承知のうえで、事故が起きれば責任を問われるのは協会です。この非対称が、対応を難しくしています。
近年は、観戦マナーをめぐる議論そのものが広がっています。2026年名古屋場所では座布団投げのほか、幕下(まくした=十両の下の階級。取組は本場所の早い時間に行われます)の取組中の悲鳴のような歓声も問題視されました。桝席への座椅子の持ち込みも報じられましたが、これはマナーの問題である以前に、協会が「座椅子等、その他座席仕様を変えてしまう物」として明確に持ち込みを断っているものです。
これから観に行く人へ
- 座布団は投げないでください。 協会が明示的に禁じている行為であり、投げた先に誰がいるかを投げた人は選べません。理屈のうえでは暴行罪・傷害罪に問われうる行為でもあります。
- 周囲が投げ始めても、それは「今は許可されている」という合図ではありません。禁止されたまま止められていない、というだけです。
- 座布団が飛んでくる可能性がある席では、頭を守れる姿勢を取れるようにしておいてください。協会自身が、観客に飛来物への注意義務を求めています。
- 勝った力士を称えたいなら、拍手と声援で十分に届きます。座布団が舞わなかった一番が、価値の低い一番だということにはなりません。
初めて相撲を観る人にとって、座布団の舞は強い印象を残す光景です。ただ、それが「相撲の正しい楽しみ方」として紹介されているのを見たら、少し立ち止まってください。協会は一貫して、投げないでほしいと言い続けています。
このページに出てきた言葉
- 座布団の舞ざぶとんのまい
- 横綱が敗れるなどした直後に、客席から多数の座布団が投げられて宙を舞う現象を指す言い方。
- 金星きんぼし
- 平幕の力士が横綱に勝つこと。三役以上の力士が横綱に勝っても金星とは呼ばず、不戦勝も数えない。
- 幕内まくうち
- 番付の最上位の階級。横綱・大関・関脇・小結・前頭で構成され、懸賞が懸けられるのはこの階級の取組だけ。
- 平幕ひらまく
- 幕内のうち、横綱・大関・関脇・小結に入っていない前頭の力士のこと。
- 前頭まえがしら
- 幕内で三役より下に位置する力士の地位。上から「前頭筆頭」「前頭二枚目」と数える。
- 三役さんやく
- 大関・関脇・小結の総称(横綱を含めて呼ぶこともある)。幕内のうち前頭より上の地位。
- 番付ばんづけ
- 力士の序列を階級と順位で示した一覧表。本場所ごとの成績で上下する。
- 白星しろぼし
- 取組での勝ちのこと。負けは黒星(くろぼし)という。
- 力士褒賞金りきしほうしょうきん
- 勝ち越しや金星などに応じて積み上がり、本場所ごとに支給される力士の収入。「持ち給金(もちきゅうきん)」とも呼ばれ、一度上がると引退まで効き続ける。
- 桝席ますせき
- 土俵を囲む、4人ほどで区切られた座敷の席。座布団を敷いて座る。
- 溜席たまりせき
- 土俵のすぐ下に並ぶ最前列の席。砂かぶりとも呼ばれ、力士の転落や飛来物の危険が高いため16歳以上のみ利用でき、飲食も禁止されている。
- 投げ纏頭なげはな
- 江戸から明治にかけて、贔屓の力士が勝つと羽織などを土俵に投げ、返してもらう際に祝儀を渡したとされる習慣。投げ祝儀・羽織投げとも。
- 纏頭てんとう
- 歌舞や演芸をした者に与える褒美・祝儀・心づけのこと。「はな」「てんどう」とも読む。
- 懸賞けんしょう
- 企業などが幕内の取組に懸ける賞金。協会の定めで1本70,000円(税込)、うち60,000円が勝った力士の取り分。
- 勝ち名乗りかちなのり
- 取組の後、行司が勝った力士の名を呼び、軍配を差し出して勝ちを告げる所作。
- 蹲踞そんきょ
- つま先立ちで深くしゃがみ、背筋を伸ばした姿勢。取組の前後に力士が取る。
- 行司ぎょうじ
- 土俵上で取組を裁く審判役。力士の名を呼び上げ、勝ち名乗りも行う。
- 呼出よびだし
- 力士の名を呼び上げ、土俵の整備や太鼓、懸賞旗を掲げる役などを務める裏方。
- 千秋楽せんしゅうらく
- 本場所の最終日(15日目)のこと。
- 優勝決定戦ゆうしょうけっていせん
- 千秋楽を終えて成績が同点で並んだ場合に、優勝者を決めるために行う取組。
- 花道はなみち
- 力士が支度部屋から土俵へ出入りするための通路。客席のあいだを通る。
- 幕下まくした
- 十両の一つ下の階級。給料はなく、取組は本場所の早い時間帯に行われる。
- 相撲競技観戦契約約款すもうきょうぎかんせんけいやくやっかん
- 入場券を取得した時点で観客と主催者の間に成立する契約の条件を定めた協会の文書。禁止行為・退場措置・販売拒否を規定している。
確かめきれていないこと
このページを作るときに、出典で裏を取りきれなかった点や、資料によって説が分かれる点です。 隠さず書いておきます。
- 【原稿から修正した点】約款第10条1項の条文は「退場させる」、第11条1項は「販売拒否対象者として指定する」と義務形で書かれています。原稿は「できる」としていましたが、これは協会が同じページに載せている“要旨”の表現です。本文では条文と要旨の差を明示しました。
- 【原稿から修正した点】原稿は「協会の観戦ガイドブックに載っている観戦礼法のイラストにも『物を投げない』が並んでいる」と書いていましたが、該当資料を確認できなかったため削除し、確認できた「大相撲観戦時のお願い」の記述に置き換えました。
- 【原稿から修正した点】原稿は投げられる座布団を「貸出用」と書いていましたが、協会資料にその記載を確認できなかったため「会場に備え付けられている座布団」に改めました。座布団を持ち帰れるかどうかについても公式な記載は見つけられませんでした。
- 【原稿から修正した点】原稿は「座布団は主に桝席の側から投げられます」と断定していましたが、裏づけが取れませんでした。あわせて、出典としている2009年のデイリーポータルZの記事は「ちゃんと投げられる座布団も、前の方の席にはありました」と明記しており、九州場所でも会場全体から投げられる座布団がなくなったわけではありません。この点を本文に補いました。
- 【原稿から修正した点】2017年7月場所11日目に白鵬を破った御嶽海は当時関脇であり、この一番は金星ではありません。原稿はこの点に触れていませんでした。また1975年3月場所は、貴ノ花が本割で北の湖に敗れたうえで優勝決定戦に勝っており、原稿の書き方では本割での勝利と読めてしまうため補正しました(取組内容は大相撲データベースで照合)。
- 【原稿から削除した点】2017年7月場所で浅田真央さんに座布団が当たったとされる件は、Wikipediaの脚注がSANSPO.COMの記事(閲覧日2018年9月11日)を挙げるのみで原記事に到達できず、出来事の年や場所も確認できませんでした。本文からは削除しています。
- 【原稿から修正した点】連結座布団の寸法(2人用・縦1メートル25センチ×横50センチ)と重量(2枚計4.8キロ)は、Wikipediaが読売新聞(YOMIURI ONLINE 2008年10月2日「これじゃあ飛ばせない!相撲協会が九州場所で新型座布団」)を典拠として挙げています。原稿は重量を「出典なし」としていましたが、これは誤りです。ただし原記事は現在到達できないため、本文では数値を使っていません。
- 2007年9月場所から取組表に注意書きが印刷されるようになったとする記述は、Wikipediaに出典が付されておらず、報道でも協会資料でも裏づけが取れませんでした。本文では時期・文言とも断定を避けています。
- 座布団投げが江戸期の「投げ纏頭」を直接引き継いだものだと確認できる一次資料は見つかりませんでした。相撲博物館や日本相撲協会公式サイトにこの系譜を明記した記述も確認できていません。Wikipediaは羽織投げの記述に岡本綺堂『東京風俗十題』を挙げていますが、本文を直接確認できませんでした。
- 「投げ纏頭は17世紀半ばの芝居小屋に始まり、18世紀初頭に相撲へ根づいた」とする説明がWikipediaにありますが、出典が付されておらず裏付けが取れませんでした。そのため本文では年代を書いていません。
- 懸賞制度が投げ纏頭の代替として整えられたとする因果関係は、協会の公式説明では確認できませんでした。本文では「説明されることがあります」にとどめています。
- 1909年(明治42年)の旧両国国技館完成を機に投げ祝儀が「正式に禁止された」とする記述は複数の二次情報にありますが、当時の規則の原文や協会公式の説明にはあたれませんでした。
- 九州場所以外で連結座布団が導入されない理由(コスト等とする説明を見かけます)を、協会が公式に述べた資料は見つかりませんでした。
- 2010年11月場所2日目、稀勢の里が白鵬の63連勝を止めた一番で座布団が飛ばなかったとする記述は、直接の報道にあたれませんでした(取組そのものは大相撲データベースで確認済み)。本文では伝聞として書いています。
- 座布団を投げたことを理由に、実際に退場措置や入場券の販売拒否対象指定が行われた事例は確認できませんでした。2019年時点で協会広報は「過去に事件になったことは把握しているかぎりない」と答えています。
- 2012年5月場所で場内アナウンス担当の行司が座布団により負傷したとされる件は、Wikipediaの出典が相撲部屋のブログにとどまり、報道での裏付けが取れませんでした。そのため本文には入れていません。
- 2024年7月場所14日目に隆の勝の頭に座布団が当たったとされる件は、デイリースポーツ報道が引用される形での確認にとどまり、原記事にはあたれませんでした(取組自体は確認済み)。
- 金星に不戦勝が含まれないことは複数の資料で一致していますが、反則勝ちが金星にならないとする点は、Wikipediaが2003年7月場所5日目の朝青龍の反則負け(旭鷲山が勝利)を先例として挙げるのみで、協会公式の規程を確認できませんでした。そのため本文では反則勝ちに言及していません(当該取組が反則決着だったことは大相撲データベースで確認しています)。
- 金星による力士褒賞金の加算額(支給標準額が10円増え、本場所ごとの支給額が4万円増えるとする説明)は広く流通していますが、日本相撲協会の公式サイト上では確認できなかったため、本文では具体的な金額を書いていません。
- 場内アナウンスの文言は複数の形が報じられており、場所や時期を通じて一言一句同じ定型文があるかどうかは確認できませんでした。
- 新型コロナウイルスの影響で2020年7月場所以降おおよそ2年間、座布団投げが行われなかったとする記述は日刊スポーツ(2020年7月19日)の引用によるもので、原記事にはあたれていません。本文では期間を明示せず「しばらく」としています。
- 本文中の各取組(日付・番付・決まり手・優勝決定戦の結果)は大相撲データベース(SumoDB)で照合しました。同サイトは公的機関の運営ではないため、日本相撲協会の公式記録との一致は保証できません。ただし2022年の正代戦、2025年の琴勝峰戦、2026年の藤ノ川戦については報道でも裏づけが取れています。
- 協会公式YouTube「親方ちゃんねる」での発言内容(むち打ちでの搬送、失明の危険)は、週刊女性PRIMEが相撲ライターの談話として伝えたもので、動画そのものは確認していません。
出典
- 日本相撲協会「令和八年七月場所(名古屋)観戦案内 観戦にあたっての注意」(観戦マナー)
- 日本相撲協会「大相撲観戦時のお願い」
- 日本相撲協会「相撲競技観戦契約約款」(平成24年1月26日制定・同年5月1日施行)
- 日本相撲協会「入場券および観戦に関する詳細および注意事項」
- 日本相撲協会「懸賞について」
- 弁護士ドットコムニュース「大相撲の『座布団投げ』は罪に問われるのか? トランプ大統領観戦で『注意書き』配布」(2019年5月28日)
- NEWSポストセブン/週刊ポスト2021年9月17日発売号「照ノ富士が敗北の波乱でも『座布団』が舞わなくなった国技館 背景は」(2021年9月25日)
- NEWSポストセブン/週刊ポスト2021年6月4日号「ケガと内蔵病に苦しんだ貴ノ花 座布団で天井が見えなかった涙の復活劇」(2021年5月26日)
- 中日スポーツ「正代お見事座布団キャッチ!照ノ富士撃破でどよめいた場内再び沸かせた【大相撲名古屋場所】」(2022年7月23日)
- THE ANSWER「飛ぶ座布団、『もう1回』コールも… 日本相撲協会が異例のお願い『観戦マナーへのご協力を』大詰め名古屋場所」(2025年7月26日)
- 週刊女性PRIME「《大相撲》『キャーー!』女性の“悲鳴声援”に座布団投げ『マナーが悪い』名古屋場所の残念な行為」(2026年7月17日)
- デイリーポータルZ「大相撲九州場所の座布団は投げられないようになってるが、投げられるものもある」(2009年12月2日)
- コトバンク「纏頭」(日本大百科全書/精選版 日本国語大辞典/世界大百科事典ほか)
- 大相撲データベース(SumoDB)取組結果 ※本文中の各取組の日付・番付・決まり手の照合に使用